椎間板ヘルニアとは

【椎間板ヘルニアとは?】
椎間板ヘルニアとは、背骨を構成する骨(椎骨)の間にある軟骨(椎間板)が変性して後ろに突出する病気です。
椎間板は椎骨同士をつなぎ、クッションのように衝撃を吸収する役目を持っていますが、これが突出すると一部が近くにある神経や脊髄を圧迫する為、痛みやしびれなどの症状が現れるようになります。
椎間板ヘルニアは背骨のどの部位にも生じる可能性がありますが、とりわけ腰に生じやすいことが特徴です。安静にしていれば症状が治まることもありますが、無理に体を動かせば症状が悪化することもあります。
治療ではまず保存療法が行われますが、症状が進行したり、長く続く場合や、排尿障害があったり、筋力低下が著しい場合には手術が選択されます。

椎間板ヘルニアは、何らかの動作によって椎間板に圧力がかかること、あるいは加齢などが原因で生じることがあります。
例えば、スポーツで体を激しく動かしたり、日常生活で重いものを持ったりすると、椎間板に強い圧力がかかり、髄核(椎間板の中央にあるゼリー状の軟骨)が突出して生じることがあります。
また、長時間の前かがみや中腰などの体勢も原因となり、比較的若い方でも発症する可能性があります。
一方、年齢を重ねると加齢によって水分が失われて椎間板が弾力性を失い、変性することで椎間板ヘルニアを生じることがあります。
この他、遺伝や喫煙が関与していることも分かってきました。

【検査・診断】
椎間板ヘルニアの診断には画像検査が必須であり、主にMRI検査とX線検査が行われます。
・MRI検査では突出した椎間板と、それに圧迫されている神経の状態を詳細に観察することが可能です。
・X線検査では腰椎の骨折や腫瘍などほかの病気を除外するために行われる事があります。
なお、画像の重症度と症状の程度は必ずしも一致しないため、筋力・感覚の低下などの身体診察で得られる情報も確認したうえで診断をします。

【当院での治療】
椎間板ヘルニアに対する治療の基本は、「保存療法(手術を行わない治療)」です。
通常は保存療法を行って症状の改善を図ります。これによって約85~90%の人が改善するとされています。
まず、痛みの症状が強い場合は安静にすることを心がけ、コルセットなどの装具を装着して固定させたりします。
⇒安静とは、傷ついた神経に余計な圧をかけないよう脊椎の可動域を制限し、楽な姿勢で長時間過ごす事です。
また、痛みに対しては消炎鎮痛剤や筋弛緩薬などの内服のほか、原因となっている神経に対して麻酔薬を注入する神経ブロック注射が行われる事もあります。
⇒局所麻酔やステロイド薬を注射して痛みを和らげる治療を行います。
そのほか、症状に応じて筋力を高めるための運動療法などが検討されます。
⇒リハビリテーション科の理学・作業療法士にて運動療法による治療や専用器具での物理療法による治療を行います。